YOKOの歳時記

気候クライシスで全地球規模で滅亡の危機に瀕しているのに、いまだに武力で他国を蹂躙するもの、その尻馬に乗って平和な世界を、人類の理想を打ち壊そうとする輩。これらの愚行を絶対に許すな!日本国憲法・第9条を守れ!地球を絶滅の淵に追いやる核・原発反対! 大長今 日々の記録 語学学習 https://www.youtube.com/channel/UCL0fR1Bq0ZjZSEGaI2-hz7A/

追悼井上ひさしさん そして日本国憲法第9条

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井上ひさしさんの突然の訃報は大きな衝撃であった。一瞬頭が空白となった。
井上さんは偉大な小説家・劇作家でありながら、私にとっては幼少の頃から特別に身近な親しみと愛情を感じてきた作家であった。

私は「ひょっこりひょうたん島」をリアルタイムで楽しんだ最後の世代である。新聞を読む年頃になると、連載小説の「偽原始人」や「日本亭主図鑑」を楽しみに開いていた。当時市川に住んでいた叔母からは、蔵書の重みに耐えかねているご自宅の様子を聞き、さもありなんと頷いた。学生の頃は、「吉里吉里人」の当時は珍しかった本の分厚さに驚き、社会人になると彼の戯曲を楽しみ、日本ペンクラブの会長や、反核憲法擁護の社会的な行動を尊敬の念で見つめてきた。

通勤帰宅途中、NHKラジオの高校生講座を楽しみに聴いていたが、「現代文」の時間では彼の「ナイン」が数年に渡って採り上げられていた。実は親の方が夢中になって読んだ、娘に買って与えた少年少女文学全集には「汚点」が収載されている。「四千万歩の男」はどちらが井上ひさし伊能忠敬かとの思いである。私が大好きであった藤沢周平さんを井上さんがまた愛していらっしゃったことには誇りすら感じてもいた。

特に思い出深いのは、一人娘の出産の時に、夜中にこっそりとラジオで聴いた劇場中継の「頭痛肩こり樋口一葉」である。帝王切開の緊急手術と赤ちゃんがNICUに収容されたショックで全く寝つかれなかった時に、劇中で歌われた「わたしたちのこころは穴のあいたいれもの」の歌が心を「無」にし鎮めてくれた。
20年も過ぎてから、再度の劇場中継で今度は心置きなく劇を楽しみ、やはりその歌詞に感動を覚えた。

病で臥せっていたことなど露知らず、75歳の彼の突然の訃報は、「早過ぎる!」という無念の言葉しか思い浮かばなかった。しかしそれでは80歳なら納得し諦めることが出来るのであろうか?「冷静になろう、よく考えよう。」と念じた。
その寂しさに一時溺れ込みはしても、しかし結局は簡単に忘れていってしまう浅はかな頭と心では、井上さんに対して申し訳ない。彼が残してくれた志しを無にしてはいけない、そんな思いがふつふつと沸いてきた。こんな卑小な私に、何とか前向きに生きたい、逃げ込むことは許されない、そんな思いを与えてくれる井上さんの大きさにあらためて深い感動を覚える。

多忙な作家活動の中でも、発言を続けてこられた憲法「9条の会」。日頃彼のような偉大な人達にお任せし、自らは行動することも考えることすらも放棄してきた自分を戒めなければならない。この小さな私が出来ること、少なくとも自らの意思を表明しそれを守り続けること。日本国の一国民として今出来ることをやらなければならない。
それが長い人生の大半を、井上さんを愛し続けて来た私の追悼である。


日本国憲法Constitution of Japan

動画→

https://www.youtube.com/watch?v=vWfq6l_r9T0

第2章第9条 戦争放棄、軍備及び交戦権の否認
Chapter II Article 9  Renunciation of War. Denial of the armaments and the right of belligerency

1日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
1) Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever
renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling
international disputes.

2前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
2) In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as
other war potential, will never be maintained.
The right of aggression of the state will not be recognized.

井上ひさしさんの面白い憲法「9条の会」の講演を見つけましたので、ぜひご覧になってください。
難しい話をおもしろく、そしてまじめに。否定形から肯定形へ。特に運動を広げ進めようとされる最後の「無防備地区」のお話は、自らの課題として胸に突き刺さりました。
http://www.youtube.com/watch?v=-0LbBSOEFGY&feature=related
10年5月20日追記 YOKO