YOKOの歳時記

気候クライシスで全地球規模で滅亡の危機に瀕しているのに、いまだに武力で他国を蹂躙するもの、その尻馬に乗って平和な世界を、人類の理想を打ち壊そうとする輩。これらの愚行を絶対に許すな!日本国憲法・第9条を守れ!地球を絶滅の淵に追いやる核・原発反対! 大長今 日々の記録 語学学習 https://www.youtube.com/channel/UCL0fR1Bq0ZjZSEGaI2-hz7A/

「道―白磁の人」

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昨日「道―白磁の人」の封切上映を有楽町に夫と二人で観に行って来ました。

主人公の浅川巧は、1914年に日本の植民地化されていた韓国に渡り、林業技術者として韓国の山を緑に戻す仕事に奔走しながら、朝鮮の白磁の壺や民芸品に深い愛情を注ぎました。当時朝鮮人を蔑視する日本人の中にあって、ハングルを学び話し朝鮮人に尊敬と愛情を持って接し、あまっさえ裕福でもない俸給から貧しい朝鮮人の家庭の子どもの教育を援助しました。
しかし彼の真摯で余りにも忙しい生き方は、1931年に40歳で、健康な体から風邪をこじらせ命を奪ってしまいました。

日本に祖国を踏み躙られていた朝鮮人は、当然これを激しく憎み3・1独立運動も戦いましたが、浅川巧の葬儀には多くの朝鮮人が慟哭、参列しました。その後歴史の動乱に合いながらも彼のお墓は韓国の人々に守られて、今も尚ソウルの公園墓地に祭られています。

私は浅川兄弟の話を以前一度読んだ記憶があり、今回の映画の予告もうれしく受け止めていましたが、昨日映画を観に行けたのは本当に偶然でした。久し振りに夫と二人休日が取れ、どこか出かけようかと思案していた時に、新聞で初日封切の記事を見つけました。韓ドラにはまったく興味を示さなかった、当然私のブログ活動なども静観していた夫が、最近BSの「トンイ」を楽しみに観るようになり、李氏朝鮮の歴史本も1冊購入して熱心に読んでいました。その豹変ぶりに密かに苦笑していましたが、私の誘いに乗ってくれたのには、本当にうれしく感じました。「トンイ」のチョンス兄さんであるペ・スビン氏が出演していることなども楽しく話しました。

白磁の人」というタイトルは、当時朝鮮でも骨董品としての価値をあまり与えられていなかった朝鮮白磁の壺に、浅川巧がその豊かな美と「用の美」を見出しその保存と伝道に精力を注ぎ、彼自身がその愛した白磁のように豊かな人物であったことに因んでいます。
主演の吉沢悠さんはイケメンながら浅川巧のしっかりした骨格を彷彿とさせ、その深い人間性をよく演じていました。ペ・スビンさんの熱演は言うまでもありません。

映画は日韓の一番悲しい歴史を描きながらも、二人の国境を越えた友情、家族愛を描き、しみじみとした情感を湛えたものでした。思わず吹き出す楽しい場面もありましたが、最近涙脆い私は終始涙を流し続けました。映画の終盤では場内のそこここですすり泣きの声が止まりませんでした。映画館を出てから夫に聞くと、本当に珍しいことに彼も泣いてしまったそうです。私は彼の涙をまだ一度も見ていないのですが…。この映画を見ることが出来て本当に良かったと思います。

一昨日は野田総理原発再開指示発言があり、深い憤りと諦観に苦しめられました。しかし歴史と浅川巧のような先人を学びながら、全てを投げ捨てる訳にはいきません。人生の最後まで決して諦めるべからずですね。

YOKO